第2章-10:南北朝の動乱と室町幕府の成立
【はじめに】武士政権の再編と動乱の時代
鎌倉幕府の滅亡(1333年)後、日本は一時的に天皇による親政(建武の新政)に戻りますが、すぐに再び武士の時代へと突入します。この過程で、日本は南朝と北朝に分裂し、約60年にわたる南北朝時代の動乱を経験します。その混乱を収束し、室町幕府を開いたのが足利尊氏でした。 この章では、南北朝の動乱と室町幕府の成立について、政治・社会・文化の側面から詳しく解説します。
【1】建武の新政と失敗
🔸 後醍醐天皇の親政
- 鎌倉幕府の倒幕後、後醍醐天皇が始めた中央集権的な政治改革
- 武士の恩賞無視・公家中心の政治により、武士の不満が爆発
🔸 建武の新政の内容
- 荘園整理令、地方官の直接任命など
- 政治の理想と現実の乖離
🔸 足利尊氏の反発
- 武士の利害を無視した政策に反発
- 尊氏は独自に東国を支配し、朝廷と対立
【2】南北朝の分裂と動乱(1336〜1392年)
🔸 南朝と北朝
- 南朝:後醍醐天皇が吉野に逃れ、自らの朝廷を維持
- 北朝:足利尊氏が擁立した光明天皇を京都に即位させる
🔸 南北朝時代の構図
- 全国の武士が南北いずれかの朝廷に分かれて戦う
- 長期的な内乱により荘園制や地方社会がさらに混乱
🔸 和平と統一(1392年)
- 足利義満の仲介により、南朝の後亀山天皇が北朝に譲位し、統一が実現
【3】室町幕府の成立と体制
🔸 室町幕府の創設(1338年)
- 足利尊氏が征夷大将軍に任命され、京都に幕府を設置
- 「室町殿」と呼ばれた邸宅に由来
🔸 幕府の仕組み
- 将軍(尊氏→義詮→義満…)
- 管領(斯波・細川・畠山)…将軍を補佐
- 鎌倉府(鎌倉公方)…東国支配のための出先機関
- 守護大名の勢力拡大 → 守護領国制へ
【4】足利義満の統治と文化
🔸 義満の中央集権化
- 南北朝統一(1392年)
- 明との貿易(勘合貿易)を開始 → 倭寇取締りと交換に公式貿易許可
- 日明貿易で幕府の財政強化
🔸 北山文化の開花
- 金閣寺(鹿苑寺)の建立
- 能楽(観阿弥・世阿弥)
- 水墨画・書院造・茶道の起源
【5】歴史学的論点と評価
🔸 南朝正統論 vs 北朝現実論
- 明治時代に「南朝=正統」とされた(『大日本史』の影響)
- 近年は両者の立場と支持勢力の違いから再評価の動き
🔸 武士政権の多元性
- 室町幕府は鎌倉幕府と異なり、将軍が全国を単独支配せず、守護大名との連携に依存
- 「連合政権」としての性格が強く、中央集権体制ではなかった
【6】まとめ:南北朝動乱と室町幕府の意義
観点 | 内容 |
---|---|
政治 | 武士政権の再編、将軍と守護の二重統治構造 |
社会 | 荘園制の解体進行、地方武士の独立化 |
文化 | 北山文化と国際交流(明との貿易) |
歴史観 | 天皇の正統性と武士の現実主義との対立 |
南北朝の動乱とその終結は、日本の政治構造に大きな変化をもたらし、鎌倉時代の封建制からより複雑で現実的な武家政権へと進化していく大きな転換点となりました。
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |
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