第3章-3:大正デモクラシーと第一次世界大戦
【はじめに】民主主義への胎動と国際社会との接触
明治時代の中央集権と帝国主義的政策を経て、日本は大正時代(1912〜1926)に入ると、民衆の政治参加を求める動きが活発化します。これを「大正デモクラシー」と呼びます。一方で、世界的には第一次世界大戦が勃発し、日本は参戦国の一員として国際舞台に立ちます。この章では、国内政治の変化と国際情勢における日本の立場を解説します。
【1】政党政治の進展と民衆の政治参加
🔸 桂園時代の終焉
- 桂太郎と西園寺公望による交互政権
- 1912年:第3次桂内閣に対する「第一次護憲運動」で退陣
🔸 大正政変と政党内閣の誕生
- 立憲政友会の原敬が平民初の首相となる(1918年)
- 政友会による実質的な政党内閣が成立
🔸 普通選挙運動
- 男子普通選挙を求める民衆運動が高揚
- 労働者・農民・学生らが政治的発言を強める
【2】第一次世界大戦と日本
🔸 参戦の経緯
- 1914年:日英同盟に基づきドイツに宣戦布告
- 青島(チンタオ)や南洋諸島を占領
🔸 二十一か条の要求(1915年)
- 中国政府に対し、日本の権益拡大を要求
- 中国国内外から反発(中国の民族運動高揚)
🔸 戦後の国際的地位
- パリ講和会議(1919年)に参加
- 山東省権益の継承、南洋諸島の委任統治を獲得
- 国際連盟の常任理事国に就任
【3】社会運動と新中間層の登場
🔸 労働運動
- 工場労働者の増加により労働争議が頻発
- 友愛会(後の総同盟)などの労働組合が結成
🔸 農民運動
- 小作料の引き下げや農地解放を求める運動
- 日本農民組合(1922年)などが設立
🔸 女性解放運動
- 平塚らいてう、与謝野晶子らによる女性雑誌・団体
- 婦人参政権運動が始まる(実現は戦後)
【4】文化と知識人の躍進
🔸 大衆文化の発展
- 新聞・ラジオ・映画の普及
- 都市生活の娯楽化(カフェ・モダンガールなど)
🔸 思想と教育
- 吉野作造の民本主義:「主権在民」ではなく「民意尊重」
- 教育勅語に代わる新たな市民教育の模索
- 自由主義・社会主義思想の浸透
【5】ワシントン体制と国際協調
🔸 ワシントン会議(1921〜22年)
- 主力艦保有制限条約(日英米仏伊の5:5:3)
- 日英同盟の解消、四カ国条約・九カ国条約の締結
- アジア太平洋地域の現状維持を図る
🔸 外交政策の転換
- 干渉主義から協調外交へ
- シベリア出兵(1918〜22)への反省から内政重視に
【6】まとめ:大正期の意義
観点 | 内容 |
---|---|
政治 | 政党内閣と普通選挙運動の進展 |
社会 | 労働者・農民・女性の社会運動の活性化 |
文化 | 民主主義思想と大衆文化の開花 |
国際関係 | 第一次大戦を契機とする国際的地位の上昇と協調外交 |
大正時代は、日本における近代的民主主義の萌芽と、国際社会との関係性が大きく転換した時代でした。次の昭和時代に続く多くの課題と可能性が、この時代に集約されています。
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |
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