第3章-1:明治時代の政治と社会変革
【はじめに】近代日本の出発点
明治維新を経て成立した明治政府は、富国強兵・殖産興業・文明開化をスローガンに、急速な近代化政策を推進しました。アジアのなかでいち早く西洋的な国家制度を整備した日本は、中央集権的な統治体制の確立と、近代的軍隊・教育制度・産業構造の整備を通じて、世界の列強へと歩み始めます。本章では、明治初期から中期までの政治改革と社会の変革を中心に解説します。
【1】明治政府の樹立と中央集権体制の確立
🔸 五箇条の御誓文(1868年)
- 公議世論の尊重・身分にとらわれない登用・知識の奨励などを示す新政府の基本方針
🔸 政体書(1868年)と太政官制
- 三権分立的な近代政府制度を目指す
- 太政官(行政)・左院(立法)・右院(審議)を設置
🔸 廃藩置県(1871年)
- 全国の藩を廃止し、県を中央政府の管轄に変更
- 地方行政の一元化が実現
【2】四民平等と社会制度改革
🔸 身分制度の廃止
- 士農工商の法的区分を廃止、すべての国民を「平民」として統一
- 華族・士族・平民の身分が新たに設定される
🔸 苗字・服装・婚姻・移住の自由
- 明治初期に次々と法令化され、個人の自由が拡大
🔸 廃刀令(1876年)
- 士族の象徴であった刀の携帯を禁止
- 武士階級の解体が進行
【3】徴兵制と軍制改革
🔸 徴兵令(1873年)
- 満20歳以上の男子に兵役義務
- 武士に代わり、国民皆兵の常備軍が誕生
🔸 軍制の西洋化
- フランス式からドイツ式へ転換
- 陸軍士官学校・海軍兵学校の創設
🔸 士族の反発と反乱
- 西南戦争(1877年):西郷隆盛率いる不平士族の最大の反乱
【4】教育改革と国民意識の形成
🔸 学制(1872年)の公布
- 全国民に対する義務教育制度の導入
- 小学校の普及が進み、識字率が急上昇
🔸 教育勅語(1890年)
- 忠君愛国・道徳教育の国家的方針を示す
🔸 師範学校・大学校の設立
- 教育者の養成・高等教育機関の整備
【5】殖産興業と産業近代化
🔸 官営工場の設立
- 富岡製糸場(1872年)をはじめ、近代工場を各地に建設
🔸 鉄道・郵便・電信の発展
- 新橋〜横浜間に日本初の鉄道(1872年)
- 郵便制度の全国展開、通信インフラの整備
🔸 財閥の成長
- 三井・三菱など、政商を中心に民間経済力が台頭
【6】まとめ:明治初期の意義
観点 | 内容 |
---|---|
政治 | 中央集権体制と太政官制の整備 |
社会 | 四民平等・士族解体と国民意識の形成 |
軍事 | 徴兵制と常備軍による国防体制構築 |
教育 | 義務教育の普及と識字率の向上 |
経済 | 殖産興業とインフラ整備による近代化 |
明治時代初期の改革は、日本が封建社会から近代国家へと脱皮する大きな転換点でした。中央集権体制と近代的制度の整備を通じて、列強と肩を並べるための土台が築かれていきました。
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |
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