第2章-13:江戸時代の政治と社会


【はじめに】泰平の時代へ

1603年、徳川家康が征夷大将軍に任命され、江戸に幕府を開いてから、日本はおよそ260年間にわたり「江戸時代」と呼ばれる安定期に入りました。戦国の混乱を終えた徳川幕府は、武士・農民・町人・商人からなる厳格な身分制度を基礎に、幕藩体制という独自の統治システムを確立します。この章では、江戸幕府の政治構造・外交・社会制度・庶民生活などを中心に解説します。


【1】幕藩体制の確立と将軍権力

🔸 幕藩体制とは

  • 幕府(中央政権)と藩(地方大名)による二元的支配体制
  • 将軍は全国の大名を統制し、幕府直轄地(約4分の1)を直接支配

🔸 大名の区分

区分 特徴
譜代大名 古くから徳川家に仕える 酒井氏(川越)など
外様大名 関ヶ原以後に従った 島津氏(薩摩)・毛利氏(長州)など

🔸 統制策

  • 武家諸法度:大名統制の基本法(起草:金地院崇伝)
  • 参勤交代(1635年〜):大名が江戸と国元を交互に往復
  • 改易・転封による監視

【2】幕府の中央機構と司法

🔸 江戸幕府の組織

  • 将軍 → 老中 → 若年寄・大目付
  • 三奉行(寺社奉行・町奉行・勘定奉行)

🔸 裁判制度

  • 武士・町人・農民で異なる裁判機関
  • 公事方御定書(1742年):刑事・民事の判例集

【3】農村社会と年貢制度

🔸 村方三役と五人組

  • 名主・組頭・百姓代が村政を運営
  • 五人組:年貢や治安維持の連帯責任制度

🔸 年貢制度

  • 検地帳・名寄帳による土地管理
  • 石高制によって収穫を評価し、年貢を徴収(通常4〜5割)
  • 不作時の年貢減免も限定的

【4】都市と商業の発展

🔸 城下町と交通網

  • 江戸・大阪・京都の三都を中心に都市が発展
  • 五街道(東海道・中山道など)の整備
  • 宿場町・港町の商業も発展

🔸 商業活動

  • 株仲間(特権的同業者組合)の形成
  • 金融業・両替商の活躍(鴻池・三井など)
  • 江戸時代中期には「米→貨幣」経済への転換が進行

【5】外交と鎖国体制

🔸 鎖国政策

  • キリスト教排除と外国貿易の制限
  • ポルトガル船来航禁止(1639年)

🔸 四つの口(唯一の貿易窓口)

貿易相手 場所 特徴
オランダ 出島(長崎) 西洋学術の窓口(蘭学)
中国(清) 長崎 生糸・陶磁器など輸入
朝鮮 対馬経由 通信使派遣
琉球 薩摩経由 両属貿易

🔸 鎖国の例外

  • オランダ語を通じて西洋学術が流入(蘭学の発展)
  • 国学・本草学・天文学など多分野に影響

【6】まとめ:江戸時代前期の意義

観点 内容
政治 幕藩体制と参勤交代による大名統制
社会 村落共同体と年貢体制の確立
経済 都市化・交通網・商業経済の発展
外交 鎖国と限定的国際交流の並立

江戸時代の前半期は、徳川幕府による中央集権体制の確立と、それに基づく秩序ある社会構造が完成した時代でした。政治的な安定の下で、農村・都市・文化が大きく発展し、後の近世社会の基盤が築かれた時代といえるでしょう。


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【監修者】 宮川涼
プロフィール 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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ryomiyagawa Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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