📘 単元名:データの整理(度数分布表・平均・中央値・最頻値)
✅ 1. 公式と用語の定義
用語 | 意味 |
---|---|
度数(frequency) | ある値や階級が出現する回数 |
度数分布表 | データを区間ごとに分類して、度数を整理した表 |
相対度数 | 各度数 ÷ 全体の度数(割合) |
累積度数 | その階級までの度数の合計 |
平均(平均値) | データの合計 ÷ 個数 |
最頻値(モード) | 最も多く現れた値(度数が最大) |
中央値(メジアン) | データを小さい順に並べたときの中央の値 |
✅ 2. 解き方の考え方
-
全体の個数(総度数)を確認する
-
平均:合計を個数で割る(しばしば度数付きの和が必要)
-
中央値:データを小さい順に並べて中央を取る
-
データの個数が奇数 → 真ん中の1つ
-
偶数 → 中央2つの平均
-
-
最頻値:最も多く出現した値(度数が最大の値)
-
度数分布表:階級・度数・相対度数・累積度数をまとめる
📝 3. 基本例題と途中式
📌 例題①:データの平均・中央値・最頻値
問題:次の10人のテストの点数から、平均、中央値、最頻値を求めなさい。
【データ】:80, 75, 85, 80, 70, 90, 85, 75, 80, 85
◎ 解き方:
-
合計:80+75+85+80+70+90+85+75+80+85 = 785
-
個数:10人
→ 平均 = 785 ÷ 10 = 78.5点 -
並べ替え:70, 75, 75, 80, 80, 80, 85, 85, 85, 90
→ 中央の2つ:80, 80
→ 中央値 = (80 + 80) ÷ 2 = 80点 -
80点(3回)、85点(3回) → 同率最多出現
→ 最頻値 = 80点と85点
📌 例題②:度数分布表と平均
問題:次のデータの階級ごとの度数分布表をもとに、平均値を求めなさい。
点数(階級) | 度数 |
---|---|
0~9 | 2 |
10~19 | 3 |
20~29 | 5 |
30~39 | 6 |
40~49 | 4 |
◎ 解き方:
-
各階級の中央値を使って、次のように近似計算:
階級 | 中央値 | 度数 | 度数×中央値 |
---|---|---|---|
0~9 | 5 | 2 | 10 |
10~19 | 15 | 3 | 45 |
20~29 | 25 | 5 | 125 |
30~39 | 35 | 6 | 210 |
40~49 | 45 | 4 | 180 |
-
合計値 = 10 + 45 + 125 + 210 + 180 = 570
-
総度数 = 2 + 3 + 5 + 6 + 4 = 20
→ 平均値 = 570 ÷ 20 = 28.5点
🏋️♂️ 4. 練習問題と解答
🔶 練習①:
問題:データ:72, 85, 90, 75, 80, 85, 78, 85
① 平均 ② 中央値 ③ 最頻値を求めよ。
解答:
① 合計 = 650 → 平均 = 650 ÷ 8 = 81.25点
② 並べ替え:72, 75, 78, 80, 85, 85, 85, 90 → 中央 = (80+85)/2 = 82.5点
③ 最頻値 = 85(3回)→ 85点
🔶 練習②:
問題:次の度数分布表から、平均値を求めなさい。
点数 | 度数 |
---|---|
60 | 2 |
70 | 4 |
80 | 3 |
90 | 1 |
解答:
-
合計 = 60×2 + 70×4 + 80×3 + 90×1 = 120 + 280 + 240 + 90 = 730
-
総度数 = 10
→ 平均 = 730 ÷ 10 = 73点
🔷 練習問題1:平均値の計算(文章問題)
問題:
あるクラスの生徒10人が英語の小テストで取った点数は以下の通りです。
48点、56点、52点、50点、58点、54点、60点、48点、50点、54点
このクラスの平均点を求めなさい。
式・解法:
合計点数を求めて、人数で割る。
合計:48+56+52+50+58+54+60+48+50+54 = 530点
人数:10人
平均点 = 530 ÷ 10 = 53.0点
正解:
53.0点
🔷 練習問題2:中央値と最頻値
問題:
上記と同じデータ(48, 56, 52, 50, 58, 54, 60, 48, 50, 54)から、中央値と最頻値を求めなさい。
解法:
データを小さい順に並べる:
48, 48, 50, 50, 52, 54, 54, 56, 58, 60
-
人数が偶数(10人)なので、中央の2つは「52」と「54」
→ 中央値 = (52 + 54) ÷ 2 = 53 -
最頻値(最も多く出た数)= 48(2回)、50(2回)、54(2回)
→ 最頻値は複数存在 → 48, 50, 54
正解:
-
中央値:53
-
最頻値:48, 50, 54
🔷 練習問題3:度数分布表からの代表値
問題:
以下は数学のテスト結果を階級ごとに整理した度数分布表である。
このとき、平均値を求めなさい。(各階級の中央値を代表値とする)
階級(点) | 度数(人) |
---|---|
0〜20 | 2 |
20〜40 | 5 |
40〜60 | 8 |
60〜80 | 4 |
80〜100 | 1 |
解法:
階級の中央値 × 度数の合計を使う。中央値は以下のとおり:
-
0〜20 → 10, 20〜40 → 30, 40〜60 → 50, 60〜80 → 70, 80〜100 → 90
求積:
(10×2)+(30×5)+(50×8)+(70×4)+(90×1)
= 20+150+400+280+90 = 940
人数:2+5+8+4+1=20人
平均点=940 ÷ 20 = 47.0点
正解:
47.0点
🔷 練習問題4:箱ひげ図の作図情報から四分位範囲を求める
問題:
あるデータの箱ひげ図において、
最小値=22、Q1=30、中央値=36、Q3=42、最大値=48 だった。
このとき、四分位範囲(IQR)と範囲を求めなさい。
式・解法:
-
四分位範囲=Q3 − Q1=42 − 30=12
-
範囲=最大値 − 最小値=48 − 22=26
正解:
-
四分位範囲:12
-
範囲:26
🔷 練習問題5:標本調査による母集団の推測
問題:
あるクラス全体(40人)の満足度を調査するため、10人を無作為に抽出し、うち3人が「満足」と答えた。
クラス全体で「満足」と答えると予測される人数を求めなさい。
式・解法:
満足の割合=3 ÷ 10 = 0.3
→ 母集団(40人)では 40 × 0.3 = 12人
正解:
12人
🔶 入試応用問題1:ヒストグラムと中央値・最頻値
問題:
ある中学校で実施した50点満点の英語テストの得点分布が次のヒストグラムで表されている。
このとき、中央値と最頻値を求めなさい。
階級(点) | 度数(人) |
---|---|
0〜10 | 2 |
10〜20 | 5 |
20〜30 | 8 |
30〜40 | 10 |
40〜50 | 5 |
解法:
-
合計人数:2+5+8+10+5=30人
-
中央値は15番目と16番目の得点の中間
→ 階級ごとの累積度数:-
0〜10:2人
-
0〜20:2+5=7人
-
0〜30:7+8=15人 ←15人目はここ
-
0〜40:15+10=25人 ←16人目もここ
-
→ 中央値の階級は 20〜30点 と 30〜40点 の間
中央値 ≒ 30点(この場合、正確な中央値は具体的な値がないため30点とみなす)
最頻値:度数最大=10人 ⇒ 30〜40点
正解:
-
中央値:30点
-
最頻値:30〜40点の階級
🔶 入試応用問題2:箱ひげ図からデータの判断
問題:
AさんとBさんのテスト結果の箱ひげ図が次のように与えられた。
-
Aさん:最小 40、Q1 50、中央値 60、Q3 65、最大 70
-
Bさん:最小 35、Q1 55、中央値 60、Q3 70、最大 85
このとき、以下の問いに答えなさい。
① AさんとBさんの範囲をそれぞれ求めなさい。
② どちらの方がデータのばらつきが大きいか、理由とともに答えなさい。
解法:
① 範囲:
-
A:70 − 40 = 30
-
B:85 − 35 = 50
② 四分位範囲も確認:
-
A:65 − 50 = 15
-
B:70 − 55 = 15(同じ)
→ ばらつきは 範囲が広いBさんの方が大きい。外れ値があるかも。
正解:
① A:30、B:50
② Bさんの方がばらつきが大きい。理由:範囲が広いから。
🔶 入試応用問題3:標本調査の推測
問題:
ある町に1000世帯がある。生活習慣に関する調査で、無作為に100世帯を選び、そのうち24世帯が「朝食を毎日とっていない」と答えた。
このとき、町全体で朝食を毎日とっていないと予測される世帯数の範囲として、最も適切なものを次の中から選びなさい。
【選択肢】
ア:200世帯以下 イ:200〜300世帯 ウ:300〜400世帯 エ:400世帯以上
解法:
調査結果:24/100 = 24%
→ 全体1000世帯に当てはめると:1000 × 0.24 = 240世帯
正解:
イ:200〜300世帯
✅ 5. まとめ
用語 | 意味 |
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平均 | 合計 ÷ 個数 |
中央値 | 小さい順に並べたときの真ん中 |
最頻値 | 最もよく出る値 |
度数分布表 | データをまとめる表 |
累積度数 | 上から順に合計していく度数 |
相対度数 | 各度数 ÷ 全体の度数(小数・割合) |
国立個別指導塾の場所
【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |